自然豊かな北海道、その裏に潜む“野生の脅威”
北海道といえば広大な自然、豊かな森林、そして美しい山々。そんな魅力溢れる土地で近年深刻な問題となっているのが、ヒグマとの“遭遇”です。昔は山奥に限られていたクマの出没が、今では街の近くや観光地でも相次いで報告されており、その頻度はまさに「増加の一途をたどっている」と言えます。
過去最多を記録したクマ出没通報件数
北海道警察によると、2023年度のヒグマ出没に関する通報件数は3,970件にも上り、これは過去4年間で最も多い記録です。実際に登山道や林道、さらには住宅街付近でも目撃されており、自然の中に住む人・訪れる人にとって大きな不安要素となっています。
クマの個体数が約30年で“2倍”に
2020年度時点での北海道内ヒグマ生息数は、推定約11,700頭。これは1990年代の約5,200頭から大幅に増えており、人間と野生動物の“距離”が近くなっている現実を物語っています。
人身被害も現実に
1962年から2023年の61年間で、北海道内では151件の人身事故が報告されており、そのうち58件が死亡事故です。特に春〜夏にかけての登山や山菜採りのシーズンに集中して発生しています。
遭遇頻度が高まる背景には何があるのか?
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温暖化と餌不足によるヒグマの移動
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山林の開発や人里との境界の曖昧化
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人間のゴミや餌に慣れてしまった“学習個体”の存在
これらが相まって、ヒグマが人の生活圏に近づく頻度は確実に増えています。
遭遇リスクを軽減するために今できること
1. 出没情報の定期チェック
北海道庁や各自治体、知床財団などが日々公開している出没マップや警報は、登山・キャンプ前に必ず確認しましょう。
2. 音での予防
熊鈴・ラジオ・声かけなどでヒグマに「人がいる」と知らせることが有効です。
3. クマ撃退スプレーの携帯
スプレーは正しい使い方を理解した上で、すぐに取り出せる位置に装備しましょう。
4. 食料・ゴミの管理を徹底
野外に匂いの出るものを放置しないことが、ヒグマを寄せ付けない最も効果的な手段です。
5. 単独行動を避け、グループで行動する
複数人の存在は、ヒグマにとって警戒の対象となり、接触リスクを大幅に下げます。
まとめ
北海道では、ヒグマとの遭遇頻度が増え続けています。これは人間側の行動と環境変化によって生じた「共存の課題」であり、無視できない現実です。自然を愛するからこそ、私たちが“正しい距離感”と“備え”を持つことが、ヒグマとの衝突を防ぐ鍵となります。