ヒグマの楽園“知床”を安全に歩くために
世界自然遺産・知床は、北海道の大自然を感じられる絶景スポットであり、登山愛好家にとって憧れの地でもあります。しかし、その美しさの裏には「ヒグマとの遭遇」という大きなリスクが潜んでいます。毎年、知床では登山中にヒグマが出没し、時に人身事故に至るケースもあるのです。
知床での登山が“命がけ”になる理由
知床はヒグマの生息密度が日本で最も高い地域の一つです。特に春〜秋はヒグマの活動が活発になり、登山道やキャンプ場周辺にも現れることがあります。2025年夏にも、羅臼岳登山中の男性がヒグマに襲われ命を落とすという痛ましい事故が起きました。
ヒグマの出没傾向を把握しよう
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春(4〜6月): 冬眠明けで空腹状態。山菜を探す人と鉢合わせのリスクが高い時期です。
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夏(7〜8月): 観光・登山の最盛期。人との接触機会が増え、慣れた個体が近づいてくることも。
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秋(9〜10月): 冬眠に備えた食料確保の時期。活発に動き回ります。
登山者が取るべき5つの安全対策
1. 鈴や音の出るものを身につける
音でヒグマに人の存在を知らせることは基本中の基本です。特に視界の悪い場所では大きな効果があります。
2. 単独行動を避け、必ず複数人で登る
ヒグマは複数人のグループを避ける傾向があります。単独登山は非常に危険です。
3. 最新の出没情報を必ず確認する
知床財団や地元自治体のウェブサイトでは、日々ヒグマの出没情報が更新されています。出発前のチェックは欠かせません。
4. クマ撃退スプレーを常に携帯する
携帯だけでなく、すぐに取り出せる位置に装備し、使用方法も理解しておくことが重要です。
5. 食べ物・ごみの管理を徹底する
匂いでヒグマを引き寄せてしまうため、持ち物の保管には細心の注意を払いましょう。
ヒグマに出会ってしまったらどうする?
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走らない、背中を見せない、叫ばない
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腕を広げてゆっくり後退する
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威嚇の場合はその場を離れる、本気の突進にはスプレーを準備
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絶対に餌を与えない、近づかない
家族連れや初心者はどこに注意すべき?
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キャンプ場でも出没することがあるため、夜間の物音には注意を。
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子どもはヒグマを刺激する可能性があるため、行動を常に見守る。
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初心者は必ず経験者やガイドと同行し、安全対策を徹底する。
まとめ
知床の登山は美しく魅力的ですが、ヒグマの存在を甘く見てはいけません。事前の情報収集、装備、心構えが命を守る鍵となります。ヒグマの聖域に足を踏み入れるという意識を忘れず、自然を敬い、安全を第一に楽しみましょう。